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「カジノ王」シェルドン・アデルソンを知っていますか？

お正月気分も抜けきらない1月11日。アメリカの富豪のひとり、「カジノ王」と呼ばれるシェルドン・アデルソン氏の訃報が全世界を駆け巡りました。世界有数の富豪で世界中のIRを牽引するカジノ王。また、政治にも大きく力を持つ巨人について、詳しくご紹介いたしましょう。

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シェルドン・アデルソンって誰？

世界中の報道機関が矢継ぎ早に報道したシェルドン・アデルソン氏の死去。「シェルドン・アデルソンって誰なの？」多くの人はそう思ったのではないでしょうか。しかし「シンガポールの巨大カジノ、マリーナ・ベイ・サンズの所有者」といったらどうでしょう？

シェルドン・アデルソン氏は、アメリカ屈指の富豪であり、2007年度版フォーブスでは、世界長者番付の6番目の億万長者として掲載されています。その資産は約3.4兆円と言われています。

アデルソン氏は、世界有数のIR（統合型リゾート）企業であるラスベガス・サンズ創設者であり、会長、CEOでもあります。世界有数の富豪としても知られているアデルソン氏は、世界のIRをけん引し、日本のIR事業推進においてもキーマンとされていました。2019年に癌の治療を受けるために休職することが明らかになったと発表されていました。

ラスベガス・サンズ

ラスベガス・サンズ（Las Vegas Sands）は、ラスベガスに本社がある統合型リゾート運営会社で、同社の会長兼最高経営責任者がアデルソン氏です。1988年に設立され、40年の歴史と実績を持つ統合型リゾート開発・運営におけるパイオニア企業。シンガポールの巨大カジノ、マリーナ・ベイ・サンズを始めとする8つのリゾートとホテルを世界に保有し、216億USドルの総投資額、5万人以上の従業員を有する巨大組織です。

2018年に、日本での特定複合観光施設区域整備法の成立を歓迎する声明を発表。翌年には、大阪の統合型リゾート（IR）開発計画を見送り、東京と横浜での開発計画に集中すると宣言しますが、2020年に計画を断念したと発表し、日本でもその存在が大いに注目を集めました。

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カジノ王の生い立ち

アデルソン氏は、ユダヤ系移民のタクシー運転手の息子として、アメリカ東部マサチューセッツ州ボストンに生まれました。父親はタクシーの運転手や広告の販売を生業とし、また母親は小さなショップを運営していましたが、暮らしぶりは裕福とは言えなかったようです。

彼は、12歳で日用品や洗面用品の販売を始めます。その後、200ドルを叔父から借りてボストンの新聞販売ライセンスを取得。16歳で、キャンディー販売機のビジネスをスタートしました。大学に入ると企業会計を学びますが2年で退学、軍隊に入隊します。

退役後、ウォールストリートで裁判所記憶係の仕事を得ます。ここでビジネスの基礎を学んだ彼は、不動産ブローカーとして成功するのです。1960年代に入ると、ボストンへ戻り様々な企業へ投資を始めます。「アメリカンインターナショナルトラベルサービス」という旅行会社が、当時の投資先の中で最も利益を得られた企業でしたが、1960年代後半に株価が暴落してしまいました。

しかし、彼はへこたれません。20代で様々なビジネスに挑戦し、30歳になる頃には多くの富を築きました。1970年代に入ると不動産投資ビジネスに乗り出し、コンドミニアムなどへの投資ビジネスで成功します。しかし、再びコンドミニアム市場が暴落してピンチを迎えたのです。

「リスクは進んで取らなければならない」。常日頃、アデルソン氏はそう言っていたといいます。その言葉を表すように、彼はコンピューターの番組に特化した「インターフェイスグループ」という会社も設立。1979年には「COMDEX」という会社を立ち上げ、コンピュータートレード番組を作成し、カジノリゾートビジネスに足を入れます。

パソコンが一般的に普及し始めたばかりの頃に『データ・コミュニケーションズ・ユーザー』というコンピューター雑誌を買収し、そこで大きなブレイクスルーを迎えました。その後、ラスベガスのリゾートホテルのひとつであるＭＧＭグランドホテルでショーを始めました。「COMDEX」は200万ドルの売り上げを上げ、ラスベガスのショーの中でも大きな成功を収めます。

その後、さまざまな事業を手掛けながらラスベガス・サンズを創業。アデルソン氏は、世界でカジノを経営する世界有数の富豪となって「カジノ王」と呼ばれるまでになります。七転び八起きの精神で、何度失敗しても立ち直るシェルトン・アデルソン氏。カジノ界で成功した巨人の秘訣はそこにあると言っていいでしょう。

カジノ産業を変えた実業家

アデルソン氏は、1988年に「サンズ・カジノ」を1億2800万ドルで買収し、自分のビジネスに合わせるためにこの企業をデザインし直します。COMDEXのショーを含むイベントセンターやショッピングモール、コンベンションセンターなど併設したホテルを創設したのです。

現在の妻、ミリオン夫人と出かけた新婚旅行でイタリアを訪れた時、アデルソン氏はベニス運河の素晴らしさと壮大な建築の美しさに感銘をを受け、帰国後、ベニスをモチーフとしたホテルを創立しました。それが有名な高級ホテル「ベネチアン」です。

アデルソン氏の、カジノを中心とするビジネスアイデアは賭博場だけに収まりませんでした。現在では当たり前となった統合型リゾート（IR）を、いち早くカジノと結びつけたのです。その構想は、カジノのイメージを後ろ暗い賭博場から明るく健康的なバケーションや娯楽のイメージへと変えたのです。

ニックネームはトランプの財布

アデルソン氏が、アメリカ共和党の有力支援者であることは有名です。アメリカの新聞社ニューヨーク・タイムズによると、昨年の大統領選で再選を目指したトランプ氏や共和党の政治家に行ったアデルソン氏の寄付は、総額2億2000万ドル（約230億円）に上るといいます。「トランプの財布」というニックネームが付けられたほどです。

トランプ氏は、アデルソン氏の死去に伴い弔意を表し「才能と独創性、そして創造性で巨額の富を手にする一方、その人柄と慈善活動への寛容さによって名声を得た。シェルドンはわれわれの偉大な同盟国、イスラエル国の忠実な支持者でもあった」と語りました。

また、イスラエル国のネタニヤフ首相は「われわれ一人ひとりにとって素晴らしい友人であり、ユダヤ人の、ユダヤ人国家の、そしてイスラエルと米国の同盟にとっての素晴らしい擁護者だった」と弔意を表しました。

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